『ありのまま』(近岡屋醤油・石川県)

クイズ

Q1:醤油作りに使われる桶には強化プラスチック製と木製がありますが、現在、より多く使われているのはどちらでしょう?

Q2:大豆を英語で「soy」といいますが、その語源は?

Q3:醤油は何の副産物として生まれたでしょう?

物語

この醤油、100mlで3,690円(税込)です。これは、一般的な醤油の価格の10〜20倍。醸造した近岡屋醤油株式会社(石川県)は、こんなにも高額な醤油を販売したことで批判されたこともあったと言います。ですが、価格にはきちんとした理由がありました。ここでは、その理由を知っていただければと思います。

日本の代表的調味料の「醤油(しょうゆ)」。その原料の一つは大豆です。大豆は英語で「soy(soybeans)」といいますが、この言葉は日本語の「醤油」のローマ字読みから来ているといわれています。オランダとの交易の中で、「shoyu」が「soya」となり、英語の「soy(soybeans)」や「soysauce=醤油」の語源となりました。

今や海外でも使われている醤油ですが、そのルーツは「醤(ひしお)」だとされています。「醤」とは、肉や魚介類、野菜などを塩で漬けた保存食(調味料)です。塩漬けにした食材のタンパク質が、微生物によって旨味成分(アミノ酸)に分解され、発酵してできます。

「醤」類は古くから全世界で見られ、そのうち肉や魚を発酵させたものは肉醤や魚醤といわれています。有名なのは「塩辛」や「ナンプラー」など。また、野菜を漬けたものは草醤といわれており、「漬物」や「キムチ」として親しまれています。

そして、穀類(大豆、米、麦)などの原料を麹で発酵させたものに、味噌や醤油があります。

ちなみに「油」という字は、水を表す「ずい」に、深い壺という意味の「由」が組み合わさったできた会意文字で、「深い壺にたまった油のような醤(ひしお)」が「醤油」という名前の意味です。味噌を造るときの底にたまった液体(副産物)である、たまり醤油のようなものが醤油の始まりだったそうですので、この名前にも納得です。

さて、近岡屋醤油は、石川県羽咋郡宝達志水町(はくいぐんほうだつしみずちょう)にある醸造所です。石川県産業創出支援機構を通じて、「ありのまま」を作っている近岡屋醤油とのご縁ができました。宝達志水町は、能登半島の入り口に位置しています。能登最高峰の「宝達山」や、今浜海岸から羽咋市千里浜に至る全長8キロメートルの海岸などがある町です。

醤油の醸造には、現在は強化プラスチックの桶が使われることが多いのですが、今でも古くからの「木桶」で仕込んでいる醸造所も多くあり、近岡屋醤油もその一つです。

醤油は発酵製品ですから、醸成に菌の力を使用します。木桶で醤油を作ると、桶に付着した菌の種類がそのまま醤油の個性になるため、醸造所によって味が変わってくるのが特徴です。ですが、やはり木桶はコストが高く、現在では醸造用の木桶メーカーも1社になったとか。

「ありのまま」の原材料は大豆(能登産)、小麦(能登産または北海道産を含む)、食塩(能登産)です。いずれも農薬や化学肥料を使わずに作られています。

そんな原材料を使い、乳酸菌や酵母菌が棲みつく杉樽木桶で、2年の歳月と手間をかけ発酵、熟成させたもろ味から、塩角のとれたまろやかな生揚げを搾って、醤油を作っています。

創業以来100年以上続く醸造方法と、自然栽培の作物の持つ力のコラボレーションです。長年醤油づくりに携わっていても、原料の種類によって大豆の蒸し時間、塩の分量などの仕込み方法を調節するのに試行錯誤をしたそうです。

発酵、熟成期間も通常の物より長くした方がよいことがわかり、完成には予定より長い時間を要しました。風味を最大限に残し、かつ殺菌も十分に、という火入れ温度の設定も重要でした。

そもそも、自然栽培は手間暇がかかるため、原料の生産コストが格段に高くつきます。ですので、自然栽培農法の安定をはかるという商品への想いから、価格はかなり高い設定になりました。案の定、価格に対する批判もあり、今でも悩むそうです。もちろん、商品の魅力を知って応援してくれる人もいるそうです。

日常用には難しくても、料理が趣味の方や、これから自炊を始められる方へのギフトなどではきっと喜んでもらえると思います。
また、家庭で使っているいつもの醤油と食べ比べしてみてもらいたいと思います。それぞれの醤油の特徴をわかっていただけるでしょう。

原料の作付けから、5年以上かかって、皆様の手元に届いた「ありのまま」。

原料や発酵期間にこだわったことで生まれた独自の風味を、香りや味だけでなく、見た目や舌触りなど、様々な感覚を使ってお楽しみください。

近岡屋醤油からのメッセージ

最近、娘への事業継承の準備をしている近岡代表からのメッセージです。
「ちょうど『ありのまま』の販路拡大を本格的に行おうと思った矢先、コロナ禍のため行動自粛やイベントなどが中止となり、大変な痛手となりました。今後は品質の良さやストーリー性など商品の特徴を明確にし、地道にお客様にお伝えできるようにしたいと思っています。
今回、発見物語で紹介していただき、大変うれしく思っております。販売に関して思うようにいかないこともあり、不安も抱えておりましたが、実際にお取引いただくことになり勇気をいただきました。ありがとうございました」

お召し上がり方

一般的なこいくち醤油と同じように、幅広い料理にお使いいただけます。

おすすめのお召し上がり方:「ありのまま」は冷や奴、刺身、玉子かけご飯など、醤油が活躍する料理に特によく合います。素材から押し寄せてくるような、それこそ自然の力を取り込んだ「ありのまま」の大豆や小麦の豊かな味、深いコクを楽しめると思います。

基本情報

価格:3,690円(税込)
内容量:100ml
名称:こいくちしょうゆ(本醸造)
原材料:大豆(能登産)、小麦(能登産または北海道産を含む)、食塩(能登産)
賞味期限:通常1年間
保存方法:直射日光を避け、常温で保存してください。開栓後は必ず冷蔵庫に入れ、早めにご使用ください。
栄養成分表示(15ml当たり):
 エネルギー:11kcal
 たんぱく質:1.6g
 脂質:0g
 炭水化物:1.1g
 食塩相当量:2.3g

メーカー:近岡屋醤油
※品物の仕様などは予告なく変更されることがあります。
クイズの答え

A1:プラスチック製の桶が多く使われています。

A2:「醤油」のローマ字読みである「shoyu」です。

A3:味噌です。

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