『KOJI CLEAR(コージクリア)』(エス・秋田県)

クイズ

Q1:秋田県などの寒い地域で発酵食品が発展したのはなぜでしょう?

Q2:「こうじ」の漢字は「麹」と「糀」の二つがありますが、この二つは何が違うでしょう?

Q3:江戸時代の甘酒は、現代の飲み方と比べて「ある意外な飲まれ方」をされていましが、どんな飲まれ方でしょう?

物語

たとえ斜陽産業といわれようが、最近の言葉で「オワコン(将来性がない、終わったコンテンツ)」と揶揄されようが、どの業界も、やはり現状を変えていくのは人です。

ここで紹介するのは、ある変革者が作った、糀(こうじ)から生まれたまったく新しいノンアル発酵飲料です。「飲む点滴」ともいわれる甘酒を、もっと飲みやすくすることを目指して開発されました。

原料は、糀、米、水の三つだけです。

「麹」と「糀」の違いとは

ところで、「こうじ」の漢字には「麹」と「糀」の2種類があります。この二つの違いは、生まれた国と、言葉の意味です。

「麹」は中国から来た漢字です。麦などの穀物が菌に包まれている様子を表しているといわれています。

一方「糀」は和製漢字です。日本では稲作が盛んですので、主に米を使ったこうじが作られていました。米を覆うふわふわの白い菌が花のように見えることから、この漢字が付けられたそうです。

どちらで書いても間違いではありませんが、こうじ全般を指すときには「麹」、米からできるこうじを指すときは「糀」が使われることが多いようです。

また、甘酒には大きく分けて2種類あり、一つは米麹を主原料にした「糀甘酒」、もう一つは酒粕を主原料にした「酒粕甘酒」です。名前の通り甘いイメージのある甘酒ですが、糀甘酒の甘味は米、酒粕甘酒の甘味は砂糖由来です。砂糖が加えられていない糀甘酒が甘いのは、糀菌が原料である米のデンプンを分解し、ブドウ糖に変えるためです。ちなみに、「酒」とはいいますが、糀甘酒にアルコール成分は入っていません。反対に、酒粕甘酒には微量の(1.0%未満)アルコールが含まれています。

200パターン以上の試作を経て開発した「KOJI CLEAR」

糀甘酒である「KOJI CLEAR」の開発の背景などを、株式会社エス(秋田県)の秋元衆平さんに教えてもらいました。

秋元さんの実家は小売の酒屋です。ですので、お酒ではなく、ノンアルコールの飲料を造ったことを意外に思われることもありますが、じつは秋元さん自身はそれほどお酒を飲めないそうです。さらに、近年アルコールを飲む人が世界的に減ってきていることもあって、ノンアルコールドリンクを作ろうと決めました。

もちろん秋元さんは甘酒も好きだそうですが、味が甘すぎたり、どういうシーンで飲んでいいかわからないこともあると言います。そこで秋元さんは、糀を使ってそういった課題を解決する飲み物を作ろうと思いました。

また、実家であるアキモト酒店が培ってきたネットワークを生かしながら、より発展させられるもの、地元の産業にも貢献できるものがないかと考えたとき、「糀、いいんじゃない?」とひらめいたそうです。

甘酒は、江戸時代前期までは夏の飲み物として知られていました。その理由の一つは、熱く煮立った甘酒を汗をかきながら飲むのが、よい消夏法(夏の暑さのしのぎ方)だったからだとされています。また、甘酒にはブドウ糖やアミノ酸、ビタミンB群が多く含まれており、疲労回復や夏バテの予防に効果があるといわれています。江戸時代よりも暑くなっている現代の夏は、甘酒を飲むのにより適した季節かもしれません。ちなみに、俳句の世界では「甘酒」は夏の季語でもあります。

秋元さんは過去に宇宙開発の仕事もしていました。そのような仕事をしていると、遠い未来のことや、「人類の未来のために」といった、とても壮大なことを考えたりするそうです。その中で、月や火星に行くといった新しい選択肢を作ることは大事だと思うと同時に、「今あるものを残さなければ」とも思うようになっていきました。20年後、今の子どもたちに職業の選択の時期が来たときに、「宇宙飛行士」「宇宙開発技術者」といった仕事のほかに、「農業」「酒造り」というような、今まで当たり前にあった仕事も、選択肢として同時に残してあげないともったいないな、と思ったそうです。宇宙の分野に集中したからこそ、その反動で、伝統産業への関心が高まった、ということかもしれません。

秋田県は日本を代表する米どころで、昔から酒造りも盛んです。しかし、ご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、現在の日本酒業界ではたいへん厳しい環境が続いています。

農家さんが米を作り、酒蔵さんが酒を醸(かも)し、酒屋さんが売るという昔からの商売のサイクルが立ち行かなくなり、秋田に限らず日本全国で日本酒に携わるメーカーが廃業しています。「地域を支えた産業がなくなっていくということは、その地域が培ってきた人材、技術、知識、文化がなくなるということです。また、将来の子供たちが選択できる未来が一つ少なくなる、ということでもあります。」と秋元さんは言います。

既存の産業構造を維持しながら、その技術やノウハウを使ってまったく新しいドリンクを作り、広く販売していく。そうすることによって、地方の課題を解決し、未来のための選択肢を残すことができるのではないか。「KOJI CLEAR」は、そんな想いから誕生しました。

構想を始めてから、実際に販売ができるようになるまで、およそ2年ほどかかりました。コロナ禍で試飲してもらう機会が作れなかったりといった、さまざまな困難もあったそうです。

秋元さんははじめ、家庭で甘酒を作れる甘酒メーカーと、さまざまな種類の糀を買ってきて、米・水・糀の分量を変え、200パターン以上の試作を自宅で行いました。

ひとくちで糀といっても、じつはかなり多くの種類の菌種があり、それぞれが違う個性を持っています。「KOJI CLEAR」で使用している糀は、「秋田県総合食品研究センター」と、日本に数社しかない種麹専門メーカーの「秋田今野商店」と共同で試験を行い、最も多くクエン酸を生成し、またすっきりとした甘さが出るものを選別したそうです。

そこから酒蔵さんにレシピを持ち込んで、商品化の相談をしました。量産や品質管理の方法など、細かな部分の打ち合わせを重ねて、試作を繰り返しました。

一般的な甘酒には1種類の糀しか使われませんが、「KOJI CLEAR」は従来の糀系の飲料にはない爽やかさを実現するために、2種類の糀を組み合わせて作られています。秋田県が特許を持つ吟醸酒用麹菌から生まれる「あめこうじ(CK33菌)」と、焼酎などで使われる酸味のある「白糀(AOK1598菌)」の2種類です。

また、独自開発のレシピを作るにあたり、秋田県を代表する二つの酒蔵(「出羽鶴酒造」と「刈穂酒造」)を持つ秋田清酒株式会社に協力してもらったそうです。さらに、液体をクリアにして、さらっと飲めるようにもされています。

協力してもらった酒蔵さんからは「こんな作り方はやったことがない」と断られかけましたが、どうしてもこの製法でやりたいと説得して、製造が実現したそうです。この製法は日本で初めてのもので、特許も取得しています。

最終的には、試飲会を東京と秋田で行い、レシピが違う2種類の「KOJI CLEAR」を約160名の方に飲んでもらいました。そこでアンケートをとって、より多く評価されたレシピが採用され、商品化に至りました。

レシピの開発と量産化はもちろん、ほかにも意外と手間がかかったのは、ボトルのデザインとその選定だったそうです。清涼飲料水は、お酒に比べて品質基準が厳しいこともあり、デザイン性と品質の両方が担保できる容器を選定する必要がありました。知り合いのアートディレクターさんやクリエイティブディレクターに協力してもらい、「KOJI CLEAR」のクリアな液体をいかしたボトルの選定とデザインを行いました。

また、キャップの選定の際には、キャップメーカーさんと何度も試験を重ねて、加熱殺菌時もきちんとシーリングされていることを確認しました。目立たないところですが、実際にやり始めると、安全な品物を流通させるためには非常に重要な要素だと感じたそうです。

秋元さんは、「KOJI CLEAR」で「コージドリンク」というジャンルを作っていきたいと思っています。現在は国内だけではなく、アメリカ、メキシコ、シンガポール、台湾、韓国、オランダの企業と、販売に向けた話をしており、今後は「KOJI CLEAR」を世界でも人気のあるグローバルブランドにしていきたいという思いがあるそうです。

「人類の歴史を紐解いていくと、発酵というのは食糧をどう保存して食べ繋いでいくかという人間のサバイバル術だったんです」と秋元さんは言います。秋田もそうですが、世界ではスウェーデンなどの北欧や北極圏など、環境が厳しい土地であるほど発酵の技術や文化が豊かであることが多いです。食料が取れないほど厳しい寒さが長く続く地域だと、暖かいうちにとれた食料を、いかにして長持ちさせるかが重要になってきます。そこで、発酵が一つの手段として選ばれました。

「この糀先進地域ともいえる大仙市で、「KOJI CLEAR」のようなまったく新しいドリンクが生まれたのは必然だと勝手に思っています」と秋元さんは言います。

ちなみに、2005年3月、大曲市、神岡町、西仙北町、中仙町、協和町、南外村、仙北町、太田町の8市町村が合併して誕生したのが秋田県の大仙市です。大曲市の「大」と、この8市町村周辺の「仙北郡」の「仙」から「大仙」と名付けられたそうです。2025年現在、大仙市はちょうど20周年を迎え、記念式典などが行われています。

「甘酒は苦手だけど、『KOJI CLEAR』はおいしい」という声をもらえたこともあったそうです。また、最近ではラスベガスで行われた食の展示会でも紹介されました。欧米の方、アジア系の方など、人種を問わずおいしいと言ってもらえたときは、本当にうれしく、作ってよかったなと思うそうです。

朝がかなり弱い方に試飲をお願いしたところ、「これは朝飲んだ瞬間に元気が出てくる気がする。個人的にケース買いします」という熱い感想が返ってきました。

一つの新しい食文化がイノベーター(改革者)によって生まれていく瞬間なのかもしれません。

エスからのメッセージ

はじめまして。糀からつくった新しい発酵飲料「KOJI CLEAR」です。大切な人の健康を想って、糀、米、水だけを使い、秋田の酒蔵で丁寧に作っています。皆様の健やかな日々を支え、前を向いて一歩踏み出すためのささやかなチカラとなれましたら幸いです。発見物語をご利用になった皆様にとって、最高の「発見」となれるよう、弊社としても万全の対応をしてまいりたいと思います。

お召し上がり方

適量をコップやグラスに注いでお召し上がりください。容器側面の「おこめマーク」の目盛り一つ分が、おおよそ一杯分の目安です。

おすすめのお召し上がり方:株式会社エスの秋元さんに、おすすめの飲み方を聞きました。
「KOJI CLEARは、朝いちばんに飲んでいただくのがおすすめです。寝起きのカラダは水分と栄養を求めています。コーヒーカップ1杯分くらいを飲んでいただくと、スッと身体に吸収され、健やかな一日のはじまりにぴったりです。また疲れを感じたときや運動の後もおすすめです。
また、KOJI CLEARとノンアルコールビールを1:1でわってのむ「KOJIノンビア」という飲み方もおすすめ。ノンアルビールの物足りなさを、KOJI CLEARの甘さと酸味、コクが補完されてとっても美味しくなります。
アルコールが好きな方は、焼酎やウォッカと割って、炭酸水を入れても美味しいです。
最近購入されたお客様からいただいた意外な声でいうと、睡眠前にKOJI CLEARを飲むと目覚めがスッキリするということ。おそらく必須アミノ酸のおかげかと思うのですが、自分たちはいつも朝をおすすめしてましたので、そんな使い方もあるのかとおどろきました」

基本情報

価格:690円(税込)
名称:清涼飲料水
原材料名:米糀、米
※保存料などを一切使用していませんので、開栓後は冷蔵庫で保管し、できるだけお早めにお召し上がりください。
内容量:290ml
賞味期限:12ヵ月
保存方法:冷暗所で保存
栄養成分表示(100mlあたり)

 熱量:59kcal

 タンパク質:0.6g
 脂質:0.1g
 炭水化物:14.2g
 糖類:13.3g
 食塩相当量:0.005g
 ビタミンB6:0.11mg
 クエン酸:220mg
 ブドウ糖:12.7g
 オリゴ糖(イソマルトース):630mg

メーカー:エス
※品物の仕様などは予告なく変更されることがあります。
クイズの答え

A1:食料が取れないほど厳しい寒さの冬が長く続く地域では、暖かい季節のうちにとれた食料を長持ちさせるため、発酵が一つの手段として選ばれました。

A2:「麹」は中国から来た、こうじ全般を指す漢字で、「糀」は米からできるこうじを指す和製漢字です。

A3:よい消夏法として、熱く煮立った甘酒を汗をかきながら飲んでいたそうです。

「KOJI CLEAR」についてのお便りやご質問

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