Q1:ジャーキーの語源となったケチュア語が公用語とされていた、15〜16世紀にペルー南部を中心に発展した国はどこでしょう?
Q2:和牛香とは何でしょう?
Q3:早くて2030年には起こるともいわれている「プロテインクライシス」とは何でしょう?
物語
ジャーキーの歴史
従来は珍味というイメージが強かったビーフジャーキー。今は、各地で高級品も発売されるなど、単品で楽しむ人も増えています。グルメ系ジャーキーや、ご当地ジャーキーも花盛りです。
では、ここで、ビーフジャーキー(以下、ジャーキーとします)が生まれ、アメリカで普及し、日本に伝わった経緯を少し見てみます。
ジャーキーの起源は、古代から世界各地で作られていた干し肉です。生のままだと日持ちしない肉を、干して乾燥させることで保存食にしていました。
ジャーキーの語源は、ケチュア語の「チャルケ(charque)」「チャルキ(charqui)」だといわれています。ケチュア語は、かつてインカ帝国で公用語として使用されていた言葉です。現在でも、アルゼンチン、ペルー、ボリビア、エクアドルなどで使われています。
「チャルケ(charque)」「チャルキ(charqui)」は、天日干しした食材全般を指す言葉です。それが北米、アメリカへと伝わっていくうちに、なまりなどが入って「ジャーキー(jerky)」になったと考えられています。
アメリカでジャーキーが普及したきっかけは、兵士の携帯食として使われたことでした。戦争が終わり、冷蔵技術が発達してからは、保存食としてのジャーキーは必要とされなくなりました。しかし、さまざまなスパイスで味付けして食べるジャーキーは、食文化の中に残っていきました。
そんななか、1970年代のロサンゼルスで、日系二世であったケン大崎さんによって、しょうゆ味をベースにしたジャーキーが販売されました。1980年代になると、特に日本人観光客の間で、このしょうゆ味のジャーキーが広まりました。
日本にそのジャーキーが持ち込まれたのは1983年。天狗のマークで有名な「テングジャーキー」を生み出した、株式会社鈴商が日本への輸入を開始すると、国内でも人気となり、ジャーキーは日本中で知られるようになりました。
A4ランクの姫牛を使ったジャーキー
ジャーキーの作り方自体はシンプルですので、家庭でも作ることができます。肉をスライスし、好きな調味料に漬け込んで、乾燥焼きするのが基本的な作り方です。さらに、漬け込んだ肉を真水にさらして味を調整する「塩抜き」という作業を行うこともあります。また、乾燥のさせ方もさまざまです。
さて、ここでご紹介する「姫牛のもも肉ビーフジャーキー」は、鹿児島県指宿市(いぶすきし)の農場で育った、A4未経産牛である黒毛姫牛のもも肉を使用したジャーキーです。

A4やA5といった牛肉のランクは、日本食肉格付協会によって決められています。肉が取れる多さをA〜Cで表した歩留(ぶどまり)等級と、肉質の高さを表した肉質等級の組み合わせで決定されます。
この品物には、最上級のA5ランクではなく、上から2番目のA4ランクの牛肉が使われています。A5ランクの肉は霜降りが強すぎて、脂の甘味とのバランスが取りにくく、赤身が持つうま味が損なわれることがあるためです。
このビーフジャーキーは、一般的なジャーキーよりも「牛肉感」を感じられると思います。
牛肉感が強まる要因として「和牛香」というものがあるのをご存知ですか?和牛香とは、和牛を加熱したときに感じる、和牛特有の甘くてコクのある香りのことです。この香りの正体は、ココナッツにも含まれるラクトン類や、脂肪様香気のケトン類、アルデヒド類といった成分です。
さて、このジャーキーは、少しの脂身でも、十分に甘味が感じられると思いますが、じつは、極力脂身を落とすようにカットされています。その証拠に、手に取ったとき、指についてしまう脂が少ないことに気づくのではないでしょうか?
脂が少ないのに甘味を感じさせるのには、やはり高い技術があってこそです。
鹿児島の牛肉専門メーカー、Meat you(ミートゥー)
この品物の作り手は、株式会社Meatyou(ミートゥー)。鹿児島県鹿児島市で、牛肉を使ったお惣菜や、黒毛和牛の精肉の販売を行っています。本社所在地は鹿児島県指宿市です。
「姫牛のもも肉ビーフジャーキー」を作ったきっかけは、常温商品にチャレンジしたかったため。鹿児島の和牛をすぐに、手軽に食べてもらえる品物として、ジャーキーを作り始めたそうです。
この品物は、牛肉本来の味を出すため、端材ではないもも肉が使われています。
一般的に、ジャーキーなどの肉加工品は、基本的にステーキや焼肉などに向かない端材(切れ端)などが使用されます。端材は、見た目があまり良くないという理由で、詰め合わせにも使われません。その端材を商品化できないか、と考えた結果、ジャーキーが作られることが多いようです。
端材は、他の部位に比べると脂身の付き方などが違います。赤身と脂身のバランスが整っておらず、味にも脂っぽさなどが残ることがあります。
ちなみに、このパッケージ。Meat you代表の森友博美さんが肉の販売をしたいと思ったきっかけになった、牛飼いだった父が好きな色が使われています。品物への愛情が込められてます。
「肉感」を残したジャーキー完成への道のり
Meat youは、2017年に初めてジャーキーの開発、製造を始めました。
肉の厚さの調整やスライスの仕方、スジや脂の除去には、専門的な技術が必要になります。そこで、こういった技術が必要な工程は肉のプロであるMeat youが引き受け、ほかの工程は製造工場に委託しています。
まず、もも肉だけでなく、脂身の多い部分や、スジなどでも試作を行いました。その結果、ジャーキー作りに最も適しているといえる部位はもも肉だと分かりました。
次に、肉のカット方法。ここでも委託先と失敗を繰り返し改善しました。たとえば、柔らかさを追求するあまり、肉を薄くしすぎて、乾燥工程ですべてダメにしてしまったこともありました。
Meat youは「昔はうまくいかないこともありましたが、今ではかなり改善されてきました。委託会社との信頼ですね」と語ります。
また、品物を作るうえで、さまざまな人にアドバイスをもらったそうです。
「鹿児島県よろず支援拠点(かごよろ)」という、鹿児島県内の事業所をサポートする無料相談所に行き、アドバイスを受けたこともありました。審査会や、商品開発、改良支援事業にも出品し、バイヤーさんやお客様からの意見を集めました。それらも反映して、品物作りを進めていきました。
さて、いよいよ実際に販売を開始します。
当初「1,000円を超えるジャーキー?コンビニだと300円だよ」などと言われたこともあり、悔しい思いをしたそうです。試食をしてもらって初めて、ようやく購入を検討してもらえるような状況でした。
ところが、今では、試食をしてもらえれば、ほとんどの人が購入してくれるようになりました。何度も改善を繰り返していったためです。
じつは、Meat youがジャーキーを売り出したのと同時期に、ほかの精肉店が次々にジャーキーを作り出しました。しかも「姫牛のもも肉ビーフジャーキー」の半分程度の単価のものが、かなりの速さで商品化されていったので、森友さんたちは疑問や不安を感じていました。
そんな状況下で行われた鹿児島の商談会で、バイヤーさんに「一番おいしいです」と言ってもらったときは「ヨッシャー」と、思わず声をあげて喜んだそうです。
プロテインクライシス
さて、現在日本では、いずれ和牛が食べられなくなるといわれています。これは「プロテインクライシス」または「タンパク質危機(増え続ける人口に対してタンパク質の供給が不足し、需要と供給のバランスが崩れる現象)」という問題にも関係しています。早ければ2030年ごろには起きるともいわれている、社会問題の一つです。
地震と牛のストレス
鹿児島県十島村(としまむら)では、2025年の6月ごろに地震が相次いで起きていました。
十島村は、畜産が主要となっている場所の一つです。とくに悪石島(あくせきじま)、小宝島(こだからじま)では、鹿児島市などへ出荷される牛が育てられています。

地震にあたり、希望者が島外へ避難していきましたが、畜産農家はすぐに避難できません。悪石島の畜産農家によると、牛は鹿児島市まで約11時間フェリーで運ぶだけで、20kg痩せてしまうほどのストレスを感じてしまうそうです。そのため、牛と一緒に避難せず、島に残って牛の世話を続けた農家たちがいました。
株式会社Meat youからのメッセージ
鹿児島県の食材を目当てに、ぜひ旅行にいらしてください。その際は最高のおもてなしをさせていただきます!きっと感動していただけると思います。
よく「有名和牛の産地は鹿児島か宮崎なんでしょ?」と言われます。それも間違いではありません。しかし、肥育地、つまり牛が育った場所が産地となります。血統や繁殖農家さんの技術はもちろん、育てる技術も重要です。その地域の環境や与える餌によっても肉質が変わります。だからこそ、同じ地域で育てても、生産者の熱意によってお肉の品質は大きく変わるのです。
弊社は出産経験のない未経産牛を専門に扱っていますが、一方で出産を経験した経産牛を専門とするお店もあります。それぞれの特徴を意識して、食べ比べてみるのも楽しいと思います。
和牛の部位の食べ比べには楽しみがあるので、ぜひやってみてもらいたいです。部位によって、脂身があったり、脂身が多そうに見えてじつはシンプルな味だったりするのを楽しんでほしいです。今後、牛肉の部位食べ比べセットにもチャレンジする予定です。
「姫牛のもも肉ビーフジャーキー」は、おでんの具材(牛すじ代わりとして)、お茶漬け、ご飯のおとも、刻んでサラダに入れて食べるのがおすすめです。
スタッフは、ちょっとしたお土産や、子どもたちに安心して食べさせられるおやつとして使っています。
お祝いやハレの日に、シャンパンで乾杯するときのおつまみとして食べてもらうのもおすすめします。
幸いにも、8月ごろには地震もほとんど収まり、避難していた島民は全員帰島しましたが、10月現在の今も、揺れが続いています。
お召し上がり方
おすすめのお召し上がり方: ベーコンやウインナーと同じように、野菜と一緒に炒めてもおいしく食べられます。調味料をほとんど入れなくても、味がしっかりついた炒めものが作れます。
基本情報
価格:1,260円(税込)
内容量:30g
賞味期限:通常、製造日より180日
アレルゲン:牛肉・大豆・小麦
原材料:黒毛和牛(鹿児島県産)、醤油、みりん、発酵調味料、砂糖、にんにく/クエン酸、ビタミンB1(一部に牛肉・大豆・小麦を含む)
栄養成分表示:100g当たり
エネルギー482kcal
たんぱく質32.2g
脂質32.3g
炭水化物15.6g
食塩相当量4.49g
保存方法:直射日光、高温多湿を避けて保存してください。
A1:インカ帝国です。
A2:和牛を加熱したときに感じる、和牛特有の甘くてコクのある香りのことです。
A3:増え続ける人口に対してタンパク質の供給が不足し、需要と供給のバランスが崩れる現象のことです。
「姫牛のもも肉ビーフジャーキー」についてのお便りやご質問
「姫牛のもも肉ビーフジャーキー」のご感想やご質問、おすすめのお召し上がり方などをお送りください。
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